「セックスワーカー」の人権を考えるために。社会学のお手本としても読める。
帯に書かれているように、「新たなサイレントマジョリティ」を可視化する
社会に対して問題を顕在化させる意味でもとても意味のある本。
もう一つ、著者の謙虚さにも感銘を打たれた。
風俗嬢の当事者と出会うことを通し、「人間を色眼鏡で見ること」がどんなに
目の前のその人自身を理解するのに障壁になるかを冒頭でしっかり書かれているので
そのような著者の姿勢にも感銘を受けた。
大前提として彼女たちも「セックスワーカー」という労働をしているプロなので、
お金を頂いたからには真摯に質の良いサービスを提供する意識もあるだろう。
それでも労働法上は日雇いなので雇用/健康保険などがある店は稀だし、労働環境も未整備だ。
中途ハンパな気持ちで
働いているわけではないと思う。
将来の夢や学費を稼ぐために体を張って稼いでいる女の子たちは
世間のイメージとは程遠い
真面目に人生を生きている人々だ。
そのような世間の「常識」をひっくり返す極めて社会学的な本とも言える。
いずれにせよモヤモヤしている「常識」や「偏見」で人々を偏見の眼差しで
まなざすことよりも
正確なデータに基づく事実や当事者である「セックスワーカー」たちの
個々の人生のストーリーを理解することが大事なことだと
この本の読後感として受け取った。
「セックスワーカー」とは誰か―移住・性労働・人身取引の構造と経験
- 作者: 青山薫
- 出版社/メーカー: 大月書店
- 発売日: 2007/12/01
- メディア: 単行本
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上記の本は「セックスワーカー」というニュートラルな概念を普及させた名著だが、
前掲書の日本のセックスワーカーに対する社会の偏見/結婚相手の女性役割期待と娼婦役割を期待する女性に対するダブルスタンダードと異なり、途上国の女性(未成年も含む;例えば、母親のエイズの治療薬のために性労働に従事するペドフィリアの餌食になる少女など)
より陰惨で過酷なものなので日本の自由意志に基づく「セックスワーカー」とは違うので注意されたい。