『七月の炭酸水』

うどんが好きな、場末人の生存と残像。

さいきんのどくしょ2

最近は、武田泰淳を読み返して改めて凄まじい作家だなと感じた。読んだのは、「誰を箱舟に残すか」「蝮のすえ」・「我が子キリスト」・「ゴジラのくる夜」どれも怪物的な文学。
上記の中・短編はいずれも読んでいて面白いエンターテイメント性もあるが「神」がどの作品も通奏低音となって隠しテーマとして出てくる。
それがすこぶるたまらない。
破滅への欲動。世界をリセットしたい気持ち。
まるでナウシカ巨神兵のような《裁く神》が小説世界のテーマの一つとして重厚感を与えている。

もう一つは、武田泰淳の「生の確証」としての肉体性へのこだわり 
とりわけ艶かしく描写される女たち。
女性の生きるしたたかさや計算高さとその強烈なエネルギーに振り回される男たち。武田らしい男女観である。
その人間の禍々しい欲望と《裁く神》の存在が「両義的」に共存しているのも特徴的だし、きになるところ。深く読み解けているかわからないが)

蛇足だが、個人的には今まで潔癖だった故に
そのような人間の生々しい欲望も俺も無頼派的に味わうのも良いかななんて感じた。

 

わが子キリスト (講談社文芸文庫)

わが子キリスト (講談社文芸文庫)

 
ニセ札つかいの手記 - 武田泰淳異色短篇集 (中公文庫)
 
蝮のすえ・「愛」のかたち (講談社文芸文庫)

蝮のすえ・「愛」のかたち (講談社文芸文庫)