『七月の炭酸水』

うどんが好きな、場末人の生存と残像。

2017-01-01から1年間の記事一覧

長田弘「立ちつくす」

朝の、空の、どこまでも、透明な、薄青い、ひろがりの、遠くまで、うっすらと、仄かに、血が、真っ白なガーゼに、滲んでひろがってゆくように、太陽の、赤い光が、滲んでゆく。一日が、はじまる。――ここに立ちつくす私たちを、世界が、愛してくれますように。

『夜中の雨が』

夜中の雨が 私の眠りをたたく 夜中の雨が 私の胸のむなしさをたたく 風は消える 樹々に降る雨の静けさの中に 追憶はとけてゆく 木の葉をたたく雨音の単調さの中に 夜中の雨が 人生の遙かさを奏でる 夜中の雨が 私の悲しみを濡らす

絶望と希望

「生まれてこなければよかった」そんなこと思った夜が数えきれないほどあった。それでもわたしはずるずると生きてきた。 いまは「生まれてこなければよかった」と人々に思わせるあらゆる世界の悲惨や障壁と向き合って闘って、逆らって生きてやろうときめた。…

犯罪被害を受けた子どものための支援ガイド―子どもと関わるすべての大人のために

臨床心理の専門書ですがオススメです。 最近も監禁事件があったりなかなかホットなイシュー(語弊があったらすみません)というか大人がどう向き合うべきか、専門家はもちろんの事、素人にできることはどういう風に兆候に気づいてしかるべきところや専門家に…

「母性の宗教」

切支丹の里 (中公文庫) 作者: 遠藤周作 出版社/メーカー: 中央公論新社 発売日: 2016/10/21 メディア: 文庫 この商品を含むブログを見る キリスト教文学というか、隠れキリシタンやキリスト教を切り口に人間心理に対する哲学的とも言える「問い」とそれに対…

私の感受性くらい....

欲の深い人は浅ましい。と私の感受性は感じる。高層ビルのてっぺんかなんかでディナーといって、フェイスブックにあげる人などいるけど俺はそういう人種とは付き合えない。羨望ではない。シリア難民や世界中でも苦しんでいる人がいるし、日本でもいまだに東…

遠藤周作「沈黙」

沈黙 (新潮文庫) 作者: 遠藤周作 出版社/メーカー: 新潮社 発売日: 1981/10/19 メディア: 文庫 購入: 26人 クリック: 337回 この商品を含むブログ (247件) を見る 遠藤周作『沈黙』読了。結論から申し上げよう。後半から畳み掛けるように、いい意味で期待を…

我輩は猫である

読了。18,19歳の時以来の通読。 ユーモアたっぷりのドタバタコメディみたいだったが、ところどころに突き刺さるような人生へのアフォリズムやせかせか急き立てられるような近代化への深い懐疑、それに対する日本の消極的文化と自然を重んじる文化への登場人…