『七月の炭酸水』

うどんが好きな、場末人の生存と残像。

友部正人 「ぼくは君を探しに来たんだ」


友部正人 ぼくは君を探しに来たんだ

 

ぼくは今 思い出したのさ
去年のあの素晴しい夏

 

ぼくは今 思い出したのさ
あの素晴しい夏のパレード

友達は今も走り続ける
友達は今も眠り続ける

ポケットの中は今も空っぽ
ぼくは君を探しにやって来た

 

でも君はまだなにも
答えてはくれない

 

ぼくは君を探しに来たんだ
ぼくは海を離れ 山を越えてやって来た


話し上手の君にも会いたかったし
ぼくのいない街で暮らしたかったから

 

 

友部正人 (現代詩文庫)

友部正人 (現代詩文庫)

 

 


朝は詩人 友部正人&武川雅寛 1995年 春一番『朝は詩人 』 友部正人

 

風は長い着物を着て
朝の通りを目覚めさせる
ぼくは朝と手をつなぎ
夜まで眠ることにした

雨は遅れてやって来て
村の祭りを中断させた
オートハープを抱えた少女が
駅で電車を待っている

 

君が歌うその歌は
世界中の街角で朝になる
君が歌うその歌の
波紋をぼくはながめてる

陽射しは午後の砂浜に
旅行者のように立っている
白い手すりのあるベランダで
夏は鏡をのぞいてる

 

折り重なったままの静けさで
大地は朝を待っている
夜明けの景色につながれて
子馬は水を飲んでいる

君が歌うその歌は
世界中の街角で朝になる
君が歌うその歌の
波紋をぼくはながめてる

 

朝は音もなくやって来て
戸口にメモを残していく
たくさんのメモの木漏れ日が
風が吹くたびゆれている

 

君が歌うその歌は
世界中の街角で朝になる
君が歌うその歌の
波紋をぼくはながめてる

 

君が歌うその歌は
世界中の街角で朝になる
君が歌うその歌の
波紋をぼくはながめてる

 

 

 


友部正人の衝撃 - '87年ライブ