『七月の炭酸水』

作家・アート系気質な場末人の生存と残像。

エレファントカシマシ『遁生』


遁生

 

これから先は死ぬるまで
表へ出ないでくらす人。
たまに表へ出るときも
タバコと散歩に日をつぶす。
働く妻の横顔に力のぬけた目を向ける
鳴るのはテレビの音ばかり…。

「生活」無き身のはかなさは
くるむふとんの温かさ
ゴロリと寝ころぶ頭上には
積み上げられた本の山
苦しみ無き身のむなしさよ
浮かぶ未来は苦しげで…。

コツコツ鳴ってる火鉢を間に
誰かが俺に聞いている。
「お前はなぜに 引きこもる?」
俺は何も答えずに
引きつる笑顔を向けていた。

これから先は死ぬるまで
表へ出ないでくらす人。
コツコツ鳴ってる火鉢を間に
誰かが俺に聞いている。

「体の調子は何うなんだ?」
寄生虫にやられてる。」
「お前に女は必要か?」
「ペットのようなら飼ってもいい。」
「車に乗って出かけよう。」
「俺はふとんで寝ていよう。」
「それじゃテレビを見るとしようか?」
「悲しすぎて見てられぬ。」
「お前は何が欲しいのだ?」
「夕陽に浮かぶ富士の山。」
「お前はなぜに生きている?」
「小さき花を見るために。
小さき花を見るために。」

歌を誰か知らないか?
つまらぬときに口ずさむ、
やさしい歌を知らないか?
金のために何をする?
女のために何をする?
人のために何をする?
それでお前は何処に行く?
それで俺は何処へ行く?
ラ・ラ・ラ…。

どうだ貴様もくらさぬか?
俺と一緒に寝てくらそう。