『七月の炭酸水』

うどんが好きな、場末人の生存と残像。

自閉症の僕が飛び跳ねる理由

おお、文庫化されていたとは!
俺は6年前ぐらいにハードカバーで読んだ気が..
とても良い本です。

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

自閉症の僕が跳びはねる理由 (角川文庫)

 

 

関連してこの本もSFですが、

実際に自閉症の息子さんを持つ著者が書いた本なので

ちゃんとした障がいに対する理解に基づいた本。

こちらはSFと毛色は違いますが、とてもいい本です。

 

くらやみの速さはどれくらい (ハヤカワ文庫 SF ム 3-4)

くらやみの速さはどれくらい (ハヤカワ文庫 SF ム 3-4)

 

 

 

桜の森の満開の下

春は魔物なので、最近、首を吊って死のうかなと唐突に考えることがある。

そして、桜の森の満開の下の季節がやってくる。どうしても、桜を見ると、

その下には気を狂わせるような死のイメージがあるあの坂口安吾の『桜の森の満開の下』という作品のイメージが湧いて生と死は表裏一体なんだな。だから桜も輝いて見えるほどに息を詰まらせるほどうつくしい。

 

 

桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)

桜の森の満開の下・白痴 他十二篇 (岩波文庫)

 

 

長田弘「立ちつくす」

朝の、空の、どこまでも、透明な、薄青い、ひろがりの、遠くまで、うっすらと、仄かに、血が、真っ白なガーゼに、滲んでひろがってゆくように、太陽の、赤い光が、滲んでゆく。一日が、はじまる。――ここに立ちつくす私たちを、世界が、愛してくれますように。

 

『夜中の雨が』

 

夜中の雨が 私の眠りをたたく

夜中の雨が 私の胸のむなしさをたたく

 

風は消える

 

樹々に降る雨の静けさの中に

 

追憶はとけてゆく 木の葉をたたく雨音の単調さの中に

 

夜中の雨が 人生の遙かさを奏でる

夜中の雨が 私の悲しみを濡らす

 

絶望と希望

「生まれてこなければよかった」そんなこと思った夜が数えきれないほどあった。それでもわたしはずるずると生きてきた。

いまは「生まれてこなければよかった」と人々に思わせるあらゆる世界の悲惨や障壁と向き合って闘って、逆らって生きてやろうときめた。

いろんな人のおかげでここまで来たんだ。

 

犯罪被害を受けた子どものための支援ガイド―子どもと関わるすべての大人のために

臨床心理の専門書ですがオススメです。

最近も監禁事件があったりなかなかホットなイシュー(語弊があったらすみません)というか大人がどう向き合うべきか、専門家はもちろんの事、素人にできることはどういう風に兆候に気づいてしかるべきところや専門家にリファーできるかというところも。それは殆ど社会人としての責任と言ってもいいかもしれない。

それから間違えなく子供時代に受けたトラウマは将来にわたり、心に甚大なインパクトを心的外傷として刻んでしまう事実。5年後,10年...それ以降も。

それを考えると俺なんかは子供を対象にした愚劣な犯罪が起こるたび身が切られるように心が傷むよ。

 

犯罪被害を受けた子どものための支援ガイド―子どもと関わるすべての大人のために

犯罪被害を受けた子どものための支援ガイド―子どもと関わるすべての大人のために

 

 

「母性の宗教」

 

切支丹の里 (中公文庫)

切支丹の里 (中公文庫)

 

 

 

キリスト教文学というか、隠れキリシタンキリスト教を切り口に
人間心理に対する哲学的とも言える「問い」とそれに対する〈弱き者〉の心情から人間を考察・探求してゆく遠藤周作の『思索』こそが遠藤の文学なんだと感じた。

ーー踏跡で黒ずんだ一枚の踏絵を見た感動から、基督教禁止時代の殉教者よりも、棄教した宣教師や切支丹の心情に強く惹かれた著者。島原などの隠れ切支丹の里を訪ね歩き、基督教が日本の風土と歴史の中で変貌していく様を真摯な取材と文献の中から考察する。名作『沈黙』を貫く著者独自の思想がうかがえる紀行・作品集。
(背表紙解題より)